【書評】静かな人の戦略書

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書評

この本を私なりにまとめると、
(元々優秀だけど)超内向型な著者が、外交型優勢な世界で必死にもがきながら、成果を出してきた。
その経緯をまとめた内向型向けのサバイバル書
である。

私は最初、この本を読むか少し迷った。
この本はAmazonレビューで⭐︎3.9(レビュー数938)で概ね良いのだが、レビューを読んでいると以下のような辛口レビューも見られた。

  • 筆者の元々の能力が高すぎる
  • キャリアがすごすぎて自慢に聞こえる
  • 外交型、内向型で分けるのは古い
  • 内容が重複している箇所があり、読みづらい

正直言って、上記は否定できない事実だとは思う。

ただそこだけに意識を取られて批判で終わってしまうのはもったいない。

本書の本質は、「はじめに」にあるこの一文だと思う。

内向型であっても、外交型であっても、自分の個性を大事にして、安全地帯(コンフォート・ゾーン)から一歩踏み出すこと。他人に貼られたレッテルのせいで、自分の可能性を狭めてはいけないこと。この本でいちばん伝えたいのは、そういうことだ。

この本は、あらゆる面からの「内向型の生かし方」が書かれている。
ただの理論だけででは説得力がないため、著者の実体験が裏付けとして書かれている。
(その実体験が華々しすぎて遠く感じてしまうけど、もうそれは仕方がない。著者がそういう世界にいたんだから。逆を言えば、そんな華々しい世界でも通用したということ。)

正直「これ内向型関係なくない?著者が頭いいだけじゃない?」と思うところもあったが、そういうところはスルーすればいいと思う。
内向型と一口に言っても、どの面で内向性が強いのか、その程度の強弱、その人が置かれている状況によって、悩みの解決方法は違うのだから。
この本に書かれたことすべてを真似すればいいのではなく、自分が活用できそうなところだけ活用すればいいのだ。
目次で気になったところだけ読むのもいいと思う。

私のようなド凡人は、超優秀✖️超内向型な著者が奮闘して得た教訓をありがたく頂戴し、励まされ、次の一歩へ進む糧にすればいいだけなのである。

それだけで十分この本の価値はあるし、筆者の意図でもあると私は思う。

ということなので、この本はこんな方におすすめする。

 

こんな人におすすめ

  • 自分が内向型かもしれないと思っている人
  • 自分の内向性を前向きに捉え、励まされたい人
  • 自分の内向性を活かしたい人

気になるところだけ読めばいい、と書いたとおり、響く言葉は人によって違うのではないかと思う。
例として私が印象に残った言葉を挙げておく。

 

励まされた言葉

脳が「即座の反応に向いていない」

内向型人間は、以下のように脳の使い方が違うため、即座に反応するのが苦手らしい。

私は相当な話下手だ。
仕事のミーティングでも、旦那との口論でも、すぐ頭が真っ白になってしまって、すぐ言葉が出てこない。
後から一人になってから、ようやく意見がまとまるけど、もう言えるタイミングがない。
それがとてもとても悔しくて。
私は頭が悪いのかな、無能なのかな、と凹むことが多かった。

著者も私と程度は違えど、即座な対応が苦手だそうだ。
あらゆるシーンでの対策が書かれていたが、どのシーンでも共通しているのは、「自分が発言するときは徹底的に準備する」であった。
こんな優秀な筆者でさえ徹底的に準備しているのだから、私がやらない理由がない。

「咄嗟に対応できるようになる」のは諦めよう。
事前準備ができるものは準備して、そうでないけど伝えたいことが出てきたら、勇気を出して伝えよう。

「咄嗟に話ができない」のが長年の悩みだったけど、いい意味での諦めがつき、頑張る方向が見つかったって良かった。

 

外交型も意外と「苦労」している

外交性が強いと「初対面なのにやたらなれなれしくて、うっとおしく思われる」ことがあるらしい。
世の中では誰もが社会へ適応することが求められ、その苦労に外交型とか内向型とか関係ないという話。

内向型だけが、自分だけが、苦労してるわけじゃない。
誰もがその人なりに、自分の性格や性質について悩んだり苦労したりしている。

そう思うと、気持ちが楽になった。

 

「謙虚さ」こそが成功をもたらす

例えばスポーツの世界では、スター選手が一番多く得点を稼いでいるように見えるが、よく見ると、スター選手に多くのシュートチャンスが集まっているからだそうだ。得点率の高いスター選手に目が行きがちだが、実はシュートチャンスを集めるようなロールプレイヤー(補助的な役割の選手)もチームに大きく貢献していることがわかってきた。そしてスポーツ界だけでなくさまざまな分野でこのような「堅実な貢献」が評価されつつあるらしい。

日本ではどうかわからないけど。。。
堅実な貢献を、もっと堂々とアピールしていいのかもしれない、と考えるようになった。
そして自分の中では、堅実な貢献を評価してくれる人=本人も堅実な貢献をしている人 という印象。
だから「自分の堅実な貢献を評価をしてもらいたい」ときは、そういう人にアピールする方がいいのかな、と思った。

 

まとめ

本書は、
超優秀かつ超内向型な著者が、外交型優勢な世界でも成果を出してきた。
そこで得た学びをまとめた内向型向けのサバイバル書
である。

著者自身のあらゆる教訓が書かれているが、内向型と言っても人それぞれなので人によって参考になる部分、そうでない部分が分かれる。

目次を見て、気になるところだけ読むだけでも十分価値がある。

 

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!!

 

 

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